開発秘話

hitode story

加藤数物の工場には、機械が織りなす金属のリズミカルなプレス音が日々響き渡っています。創業から90年を超えましたが、元来当社は算数や理科で扱う定規などの木工教材から事業をスタートしてきました。その長い歴史の中で培った技術力を武器に、さまざまな金属部品を開発し、今では大手自動車メーカーのグローバルサプライチェーンを支える金属加工会社へと成長を遂げています。
しかし、EVシフトによる部品点数の削減、コロナ禍やアメリカの関税に見る世界情勢の著しい変化など、自動車業界を取り巻く環境は常に変化し、そのスピードと難易度はかつてないほど高まっています。さらに、技術継承や若手社員の確保という業界の課題も顕在化し、既存ビジネスだけでは未来を描きにくい状況が浮き彫りになりました。

「既存の枠を超えて、新しい価値を創造できるものは何か?」

現状を打開するために自社商品の開発へ注力するようになったのは、自社だけではないと思います。

「自分たちの強みとは何だろう?」

日々の業務に全力を注ぎながらも、新たな挑戦に向けて自らを見つめ直す時間を増やしました。キーワードは、創業当初の原点——木工教材の製造という原点と、金属加工で培った技術力です。テーマに掲げたのは「教育」と「体験」。手に触れ、組み立てることで学びや感動が生まれ、またまだ世の中に存在しないプロダクトを生み出す──そんなビジョンを具体化するための模索が始まりました。

そんな中、とある展示会へ足を運んだ際、ドーム形状の展示物が目に入りました。
──これを容易に組み立てる部品があれば楽しさを創造できるんじゃないか。

数学・物理学者のアルキメデスの多面体から半球ドーム形状を実現するジョイント金具はいくつか存在していたものの、日本で製造されているものは見当たらず、かつ個人でドームを作れる金具は存在しないことにきづきました。その瞬間「これだ!」という直感が走りました。
工場の片隅で繰り広げられたのは、幾度もの議論と検討の日々でした。形状を模索した末、人と人をつなぎ、海星(ヒトデ)のように広がる可能性を感じさせるその形から「hitode bracket(ヒトデブラケット)」と命名し試作を走らせました。

紙と割り箸で形状を切り出し、折り、貼り合わせ、何度も試作し調整を繰り返しました。金属でプロトタイプを打ち出すと、強度不足で金具が割れたり、組み立てに手間がかかりすぎたり、コスト試算では量産が難しい数字が並んだりと、さまざまな失敗が連鎖しました。
それでも諦めず開発を続け、長期間での外使用を想定し台風などの自然環境への耐性も確認しながら徐々に形になっていきました。
こうしてノートにスケッチを描いた日から一年以上が経過し、ようやく量産化の目処が立ちました。

完成した「hitode bracket」は、強靱でありながら軽やかで、コストを抑えつつ見た目にも美しさを感じさせるフォルムです。木と木をつなぎ、新たな空間を生み出すだけでなく、人と人をつなぐ特別なアイテムになりました。
現在では教育現場では学びのツールとして、飲食店では非日常を演出する個室空間として、野外イベントではイルミネーションや風鈴を用いた演出アイテムとして、全国30以上の都道府県で多彩な用途に活用されています。
多くの方が「hitode bracket」を手に取り、組み立てを通じて生まれる笑顔とつながりにご満足いただけていることを、従業員一同、誇りに思っています。

木と木、人と人をつなぐ、ヒトデのような形をしたブラケット

新たな繋がりが生まれることを願って、リズミカルなプレス音とともに。

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